作者名:白鷺(しらさぎ) あおい 創元推理文庫
両親を失い、田舎にある伯父の家に引き取られた綾乃には秘密の親友がいた。幼いころ洞穴で見つけた小さな白蛇アロウ。アロウはみるみる成長し、今では立派な大蛇だ。十四の夏、綾乃は村祭の舞い手に選ばれた。だが、祭の当日、サーカスから逃げ出したアナコンダが現れ村は大混乱に。そんななか、綾乃は謎の男に襲われるが、そこに疾風のように箒で現れ、間一髪彼女を救ったのは、村に滞在していた民俗学者の大原先生だった。綾乃はそのまま先生の母校ディアーヌ学院に連れていかれ、そこで学ぶことになるが、そこはとても変わった学校で……。第2回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞作。
読みやすい日本ファンタジーです!
ハリポタは長い…日本人の方が読みやすい…という人におすすめ!
うまいことブレンドしました度:★★★★★
基本はファンタジーです。
しかし、伏線がはられたミステリーであり、SF要素も融合するという贅沢な作品!
‟魔女” ‟妖怪” ‟和風ハリポタ” とつめこみすぎかと思いましたが、
設定がしっかりとしているので違和感なくなじめます。
なぜ主人公が、魔女学校に通うことになったのか。
日本古来の妖怪たちが、魔女学校に通うのはなぜか。
そもそも、日本に魔女学校がある理由とは。
などなど、なるほどふ~むという説明が、ちゃんとあります。
納得したら、変わった設定が活かされた、学園ファンタジーとワクワクの展開を楽しむのみ!
後半には、SFチックな展開があり、
謎解きミステリと、波乱の対決アクションもあり、
驚愕の真相もあって、素晴らしい盛り上がり!
中学生くらいから、大人まで楽しめる、素敵なファンタジー!
本格ファンタジーといえば、「夜の写本師」シリーズの乾石智子さんが代表ですが、
この本はより若年層向けで読みやすいです。
妖怪の魔女学校、面白そう度:★★★
主人公が通う全寮制のディアーヌ学院(魔女学校)。
そこの生徒は、少しの人間とさまざまな妖怪(妖魅)!
普通の科目にプラスして、妖魅の生物学やら薬草学、ダンス(箒での飛行術)やら…
魔女学校ならではの科目が。
野外学習も、一味違います。
この辺り、いかにも魔女学校で、読んでいて楽しいです。
何より面白いのは、山姥や雪女や、のっぺらぼうといった生徒たち!
私が好きなのは、お調子者の人狼・堀口君です。
魅力的な人物がたくさん出てくるので、
お気に入りのキャラが見つかると、より楽しいかと。
何かと賑やかな騒動が起きる学園ですが、
学園外でのトラブルも多いから、油断できません…。
ボーイ・ミーツ・ガール度:★★★★★
なぜ妖怪が魔女学校に通うのか、遺伝方式による種族問題って?と色々テーマはありますが、
最初から最後までハラハラするのが、
主人公・綾乃、大蛇・雨太郎(アロウ)、ある学友くんの恋愛模様です。
この作品は、このあと「人魚と十六夜の魔法」「蛇苺の魔女がやってきた」と続く3部作なのですが、
シリーズとおして語られるのが3人の恋愛模様!
「ぬばたまおろち」だけでも完結してて面白いですが、
ディアーヌ学院の生徒が好きになったら、続編もおすすめです!
妖怪もの、魔女ものが好きな人。
ファンタジー入門編にいかがでしょうか?