作者名:小林 泰三(やすみ) 創元推理文庫
会社の書類を届けにきただけなのに……。森の奥深くの別荘で幸子が巻き込まれたのは密室殺人だった! 閉ざされた扉の奥で無惨に殺された別荘の主人、そしてそれぞれ被害者とトラブルを抱えた、一癖も二癖もある6人の客。犯人はこの中にいる──。犯人当ての「大きな森の小さな密室」。遺跡の発掘現場で発見されたのは、絞殺された若い女性の遺体。死亡推定時期は150万年前!? 抱腹絶倒の「更新世の殺人」。ミステリでお馴染みの7つの「お題」を天才殺人者やマッドサイエンティストなど一筋縄ではいかない探偵たちが解く。精密な論理が黒い笑いを構築する全7篇のミステリ連作集。
問答無用で、記憶に残る!
個性的すぎる面々が活躍する、奇妙な推理劇。
7つのお題が、まさかの仕上がり度:★★★★
犯人当て、倒叙ミステリ、安楽椅子探偵、バカミス、
⁇ミステリ、SFミステリ、日常の謎。
この7つのお題に沿ったミステリが収録されている、連作短編集です。
定番のお題ですが、
このお題で、普通こんな話にはならない!という作品だらけ。
事件や動機は、よく描かれるものであっても、ここまで展開が読めないのも、珍しい。
予想外の展開を見せるホラー・ミステリ・SFを書く、
小林作品らしさが全開。
ブラックな笑いもたっぷりです。
正統派っぽい流れは、犯人当て「大きな森の小さな密室」と、安楽椅子「自らの伝言」かな?
登場人物の癖が強いので、十分個性が出てますけど。
SF「遺体の代弁者」、日常「路上に放置されたパン屑の研究」は、
なかなかのインパクトでした。
ひどい話なんだけど、何だか脱力した笑いが出てしまう…。
バカミスの「更新世の殺人」にいたっては、
もはやどこから突っ込めばいいのか分かりません!(笑)
性格に問題がありすぎる度:★★★★★
個性的なミステリだらけになったのは、内容が斬新なのももちろんですが、
登場人物が、とんでもない性格ばかりというのも大きな理由かと…。
犯罪行為してたり、存在がでたらめだったり、
他の短編集で世界を滅ぼしてたり(⁉)
なかなか、他では見れない面子ですね。
探偵役も、犯人も、居合わせた人々も、驚異の変人率!
でも、ただ変なだけではなく、面白いミステリになっているところが、すごいですねぇ。
これだけ、物語を崩壊させそうな面子が出ていて、
話がまとまるというのは…小林クオリティ?
特色ばらばら度:★★★
犯人当ては、ミステリをよく読む人なら、犯人の目星がつくかもしれません。
倒叙ミステリは、コロンボや古畑任三郎的な面白さがあります。
犯人の往生際の悪さがすごくて、思わずクスリとしてしまいました。
安楽椅子は、容赦ない探偵役が容赦なく推理!
バカミスは、バカミス街道を突っ走った感じです(笑)
⁇ミステリは、一回じゃ分からない~。難しい…。
SFは、設定が人でなしすぎて、事件よりそっちに目がいっちゃう(汗)
日常の謎、面白いけど、ひどいな~!
という感想になりました。
他の作品に出てる人もいるので、ホラー短編とかメルヘン殺人シリーズを、
チェックしても面白いと思います。
ホラーも、ミステリも面白い!
作品見ると、つい買っちゃう…癖になる作家さんです。