【短編集】行き先は特異点|年刊日本SF傑作選の、第10集目。有名作家の作品が目白押し!斬新な発想・意外な展開・驚きの結末に満ちた小説が16編に、気鋭のSF漫画家のコミックが3編収録された、贅沢な作品集!巻末の第8回創元SF短編賞受賞作は、特におすすめです。

大森 望・日下 三蔵 編  創元SF文庫

2016年の日本SF短編の精華を収録。今年度版には秋永真琴、上田早夕里、円城塔、北野勇作、倉田タカシ、小林泰三、諏訪哲史、高山羽根子、谷甲州、飛浩隆、酉島伝法、藤井太洋、牧野修、眉村卓、宮内悠介、山本弘らの小説16編をはじめ、石黒正数、弐瓶勉、山田胡瓜のコミック3編を収録。巻末には第8回創元SF短編賞の受賞作と選評を掲載。編者二人による各作品解説や年間日本SF概況、短編推薦作リストなど解説記事も充実した、2016年の日本SFが一望できる年刊ベスト・アンソロジー。

SFの大御所作家の、キレキレの短編がたくさん!

コミック3編も面白く、気分を変えながら楽しめます!

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贅沢・満足度:★★★★

宮内悠介、高山羽根子、小林泰三、山本弘、牧野修、上田早夕里、酉島伝法…などなど。

そうそうたるメンバーです!

「盤上の夜」で、インパクトのあるデビューをした宮内悠介さんの作品は、

盤上の夜に収録された話とは、全然印象が異なる「スモーク・オン・ザ・ウォーター」。

「うどん キツネつきの」で、シュールさ全開の個性を見せた高山羽根子さんは、

戦時中の手紙のやり取りが構築する、摩訶不思議な物語「太陽の側の島」。

第2回林芙美子文学賞の大賞受賞作だそうです。

ホラー・SF・ミステリで活躍する小林泰三さんは、らしさ全開の「玩具」。

独特の、言語の力に満ちた世界観の牧野修さんは、混沌とした魅力に引き込まれる「電波の武者」。

「皆勤の徒」で、いきなりすごい世界を構築しちゃった酉島伝法さんは、

今度は自然界にて、これまたすごい世界を構築。その名も「ブロッコリー神殿」。

他にも、個性と実力が光るSF作家さんの短編がたくさん!贅沢!

なるべく、多くの作品をチェックしておきたい人には、嬉しいですね。

それぞれ、特徴的で「うんうん、○○さんらしいなぁ。」という作品になっているかと。

小林泰三さんの話なんか、初期ホラーからのファンが喜ぶ展開です。

コミックも、弐瓶勉、石黒正数など、名前をよく見る人が。

短いコミックなんですが、十分な読みごたえがあります。

弐瓶さんは、そのままコミック読みたくなるし、

石黒さんは、とにかく斬新な発想(笑)

気になってる作家をチェックしやすい度:★★★

SFは難しい話も多いし、いきなり長編がっつりよりは、短編でどういう作風か知りたい…

という人には、このSF傑作選はちょうどいいです。

SF以外も書いている人や、よく平積みになっている人も、収録されていますし。

円城塔さん・宮内悠介さんの話は、設定が面白い!

とくに円城さんの「バベル・タワー」は、よくこんな設定思いつくなぁ、と感嘆。

小林泰三さん・牧野修さんは、個性全開だし他作品との関係もあり。

(小林泰三「玩具修理者」・牧野修「月世界小説」に、少し関連が。でも、読んでなくても楽しめます。)

飛浩隆さん「洋服」・諏訪哲史さん「点点点丸転転丸」は、すごく短いのにすごく面白い!

ショートSF作品の傑作です。

どの作品も短い分、アイデアが素晴らしく、スマートにまとめられています。

いろいろ読めて、楽しかった~。

短編賞受賞作が素晴らしい度:★★★★★

最後に収録されているのが、第8回創元SF短編賞受賞作で、

久永実木彦さんの「七十四秒の旋律と孤独」です。

これが、個人的にとっても好きなお話でした!

宇宙船で人間が活動できない時間だけ、不測の事態に対応するため働く人工知性の話なんですけど、

何とも切なくて美しくて、短いのに印象深かったです。

個性的なSF短編をいくつも読みながら、

合間にコミックを読んでさらに楽しみ、

最後に素晴らしいシメが!じ~んとくる余韻が、いい…。

少し難解な話も、読みやすいSFも、ユーモアたっぷりの漫画もあり!

気分を変えながら、楽しめる傑作選です。

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