【ミステリ】女學生奇譚|「この本を読んではいけない」読んだ者が失踪したという、いわくつきの本。攫われた女学生の視点で描かれたその内容は、徐々に狂気を増していき…。調査を開始した3人組は、異常な事態に直面!予想外の真相を個性的なメンバーが解き明かす、江戸川乱歩賞作家の秀逸なミステリ!

作者名:川瀬 七緒   徳間文庫

この本を読んではいけない―奇妙な警告文の挟まれた古書がオカルト雑誌の編集部に持ち込まれた。古書の持ち主だった兄が数カ月前に失踪し、現在も行方不明だと竹里あやめは訴える。フリーライターの八坂駿がその本を読み進めるに従い、周囲で不気味な出来事が続く。いたずら?狂言?それとも…。八坂はペアを組むカメラマンの篠宮、依頼人のあやめとともに、古書の謎を追う。

おどろおどろしさに、コミカルな魅力もある、いろいろと予想外の作品!

呪われた本を調査する主人公たちが魅力的な、雰囲気たっぷりのミステリです!

スポンサーリンク

呪われた古書の魅力度:★★★★★

オカルト雑誌の編集長から、「読むと発狂する呪われた本」の調査を頼まれた、

フリーライター・八坂と、女性カメラマン・篠宮。

彼らは、本を読んだ兄が失踪したから調べてほしいという若い女性・あやめとともに、

本の内容を細かく調査することに。

八坂はいわくつきの本「女學生奇譚」を読んでいき、

その内容は作中に挿入されます。

読むと発狂したり失踪したりする古書…怖いけれど、こういう話は魅力的!

また、「女學生奇譚」の内容が、何とも言えない妖しさです。

攫われて、豪奢なお屋敷に幽閉されている17歳の少女・佐也子が、

屋敷の主の許可を得て、自らの境遇を本にまとめている…という内容。

屋敷には、つねに2~4人の少女が閉じ込められており、

ある日突然、1人が呼び出され、それからは姿を見なくなってしまうのです。

良家の少女が誘拐され、しばらくしたらおそらく殺される…

恐ろしい話ですが、

攫われた少女には欲しい小物や着物が与えられ、毎日とても豪勢な食事が出され、

乱暴なことは一切されないという、何とも不可思議な状況。

殺される恐怖に慄きながら、日々の食事が楽しみで仕方がない佐也子が綴る物語は、

次第に狂気を見せ始め…。

読み進めた八坂の身の回りでも、おかしなことが起き始めるのです。

怖~い展開ですが、クライマックス、物語は怒涛の勢いで予想外の事態へ突入。

読む前に想像していたのとは、違ったなぁ、でも好きだなぁという感想。

江戸川乱歩賞受賞のデビュー作「よろずのことに気をつけよ」も読みましたが、

全体の雰囲気は不穏で、登場人物は魅力的な部分は一緒かと。チェックしたい作家さんです。

登場人物が好きになる度:★★★★

主人公で34歳のフリーライター・八坂は、有能な人物だけれど、

どこかずれているところがあり、料理の腕はプロ級。

そして、とんでもない秘密を抱えている男性でもあります。

相棒のカメラマン・篠宮は、

長身な女性でミリタリーファッションに身を包み、大食いで男勝り。

過去にいろいろありつつも、基本的に面倒見のよいアネゴ肌…

ただし「女學生奇譚」の呪いを真に受けびびり、読むことを断固拒否。

依頼者の竹里あやめは、地味極まるファッションで、気難しい帰国子女。

でも、だんだん印象が変わってきて…。

怖そうな装丁と紹介文だったから、

ひたすら不気味で後味の悪いホラー作品かと思ったんですが、

主要キャラ3人組のコミカルなシーンもあって、意外と暗くない!

言い方アレだけど、もっとジメジメしてるかと(汗)嬉しい誤算。

妖しい古書の耽美な魅力を味わえる、面白いミステリでした!

上質なホラーミステリ度:★★★

基本はミステリなんですけれど、

佐也子の「女學生奇譚」の内容は、常軌を逸してくるし、

八坂のまわりでは、呪いの本の影響としか思えない出来事が起きます。

この辺は、まさにジャパニーズホラーの、じっとりとした恐怖を味わえます!

本の謎は、少しずつ解き明かされていきますが、

不気味な出来事は一体何なのか…

「女學生奇譚」に宿る力に怯えながら、クライマックスは怒涛の展開!

3人組は、呪いの本をめぐる恐怖から抜け出せるのか…

後半はもう止まりません。

江戸川乱歩賞や、横溝正史賞などの受賞作品が好きな人は、特におすすめです。

「怖そうだけど面白そうなミステリ」は、なぜこんなに魅力的なのか…。

本作を楽しんだら、乱歩賞受賞作「よろずのことに気をつけよ」もおすすめです。

女學生奇譚 (徳間文庫) [ 川瀬七緒 ]
楽天ブックス
¥ 814(2024/01/11 01:31時点)
ランキングに参加しています。いいね!と思ったら↓クリックをお願いします!
にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へ
タイトルとURLをコピーしました