【ミステリ】夜の淵をひと廻り|もはや全住民のストーカー⁉職務質問と巡回連絡が大好きなシド巡査の、ただ事ではない事件帖!恐るべき事件と、狂気の殺人犯との対決を経て、彼がたどり着く次元とは…笑いと悲しみと愛しさが混在する、まさに真藤順丈テイストの超個性派警察小説!

作者名:真藤 順丈   角川文庫

「警察官だって怖いものは怖いんだよ」。職務質問と巡回連絡が大好き、管轄内で知らない事があるのが許せないシド巡査の下には奇妙な事件が呼び寄せられる。通り魔連鎖、謎の多世帯居住ロッジ、十数年未解決のシリアルキラー。普通の人が暮らす街の片隅に怪物の巣食う奈落が密かに口を開けている。悪意のスパイラルを追い続けた果てにシドが辿り着くのは。新人賞4賞&山田風太郎賞受賞の奇才による異色の警察官サイコ・ミステリ。

ハッキリ言って、全住民のストーカー(笑)

それでも、シドさん、大活躍!

異色の警官が、異常な事件を解き明かす、刺激的な警察小説です。

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主人公、個性的すぎ度:★★★★★

とある事件がきっかけで、全住民のプライバシーを知らないと気が済まなくなった巡査・シド。

人呼んで、全住民のストーカー。

一歩間違うと犯罪者ですが、その異常な地域の情報量をもとに、

鋭い推理を見せる、有能な警察官でもあるのです。

‟足癖”が悪い、捜査一課のエリート・クラマも、

先輩の異常っぷりに、文句をつける新人・アイザワも、

何だかんだで、シドの特殊な能力を認めている様子。

ただ、自分が有能で素晴らしい警察官であると、手記にしれっと書いちゃうシドのキャラが(笑)

変なところで発揮される、謎のポディティブシンキングが、ツボにはまり…。

9つの話のすべてで、かなり凄惨な事件が起きるのですけれど、

冒頭で、だいたい笑わせてくれます。

制服着たまま、床屋でシェービングうけるんかい(笑)

ほぼすべてのコメディ要素を一人で引き受けながら、町の住民を守るために、

戦い続けるシドが、大好きになりました!

ただの警察小説ではない度:★★★★

シドの特殊なキャラクター以外にも、他の警察小説とは、明らかに違う要素のある作品。

さまざまなジャンルを書く、真藤さんらしい、

不可思議な世界に迷い込んでしまうような…う~ん、何とも言えない魅力があります。

警察小説はあまり読まない人にも、

たくさんの警察小説を読んできた人にも読んでもらいたい、

真藤ワールド全開の、ミステリ小説!

読み終わるころには、近所にシドさんいてもいいかな?と思っているかも。

ミステリの良作ぞろい度:★★★★★

どれも、ミステリとして非常に面白いです。

冒頭の「蟻塚」から、急転直下のラストがインパクト。

個人的に特に好きなのが、シドの出発点の1つといえる、2つ目の「優しい夜の紳士」。

通り魔に切り付けられた人間が、次の被害者を切るとは一体?

序盤からして、通常の警察小説から一線を画す作品なのが分かる作品です。

3つ目の「着飾るヴィジランテ」は、相棒アイザワとの初めての事件で、

格好に引きずられる人間心理と凄惨な事件を描きつつ、2人のギャグパートも冴えるエピソード。

4つ目の「笛吹き男はそこにいる」は、失踪者を追ううちに、何とも奇妙な展開に。

大人の味わいミステリでした。

シドでも把握できない謎の集合住宅の、恐ろしい秘密を暴くのが、5つ目の「悪の家」。

現代社会で起こり得る悪夢的事件で、いちばんゾ~っとしました!

6つ目の「新生」は、問題だらけの元警察関係者たちとチームを組み、決死の犯人捜しに挑む話。

曲者集結スーパーチーム!といった盛り上がりがありますが、描かれる事件は最恐最悪で、とにかく邪悪。

後半のインパクトマックス作品でした。

7つ目「ぼくは猿の王子さま」8つ目「スターテイル」は、切なく哀愁漂うミステリ。

9つ目「夜の淵をひと廻り」は、一気に真藤ワールド全開で、この作品の最終到達点!

不可思議な世界から帰ってきたとき、シドが語る事件の真相とは?

どれも、冒頭はコメディタッチなのに、事件の内容は凄惨極まりなく、

真相は唖然とするものばかり。

全作品、それぞれ持ち味があって、9話分しっかり楽しめました!

真藤作品にはまった人も、まだ読んだことのない人も、

ぜひ、シドの活躍を楽しんでください!

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