作者名:澤村 伊智 角川ホラー文庫
見えない通り魔「ぜんしゅ」の正体は――!? 比嘉姉妹シリーズ第5弾!
妻が妊娠し、幸せいっぱいの日々を送るサラリーマン・田原秀樹は、ある日、知り合いの娘の結婚式に参列することに。
映画「来る」へのアンサー的短編!
――「鏡」真琴と野崎の結婚式。姉の比嘉琴子は祝いに駆け付けるが、誤って真琴に怪我をさせてしまう。
猛省する琴子は、真琴に代わり、彼女が請け負っていた事件「見えない通り魔」の調査に乗り出す。
――「ぜんしゅの跫」
第1作目「ぼぎわんが、来る」から、クオリティーが落ちないホラーシリーズ!
今作も、タイプの違うホラー短編が収録されており、楽しめます。
またしても面白い!度:★★★★★
第1作目「ぼぎわんが、来る」は、迫りくる化け物の恐怖を描き、
2作目「ずうのめ人形」では、都市伝説の恐怖+ミステリ要素が見どころで、
3作目「などらきの首」では、ファンが楽しめる短編揃い、
4作目「ししりばの家」は、不気味で背筋が寒くなる感が満載。
5作目となる本作は、3作目と同様に短編集で、5つの話が収録されています。
今回も、面白い!
収録されているうちの3作品は、
イヤ~な感覚たっぷり、ホラー色が強いもので、うわっ…という感じ。
あとの2作品は、比嘉姉妹の活躍が描かれており、楽しめました。
姉妹の活躍から、純粋なゾ~ッまで…度:★★★★
1つ目の「鏡」は、「ぼぎわんが、来る」に続くエピソードになっています。
妻が妊娠中、知り合いの娘の結婚式に出席することになった田原秀樹は、
会場にあった鏡の中に、妙なものを目撃。
その後出席した式で見た花嫁は…。
2つ目の「わたしの町のレイコさん」は、過去の事件から生まれた都市伝説の話。
体の一部が欠損した‟カシマレイコ”の怪談が、ある町では違う形で発生していて…。
内容が内容だけに、いちばんうげっ…となる話でした。
個人的に、最もイヤ度が高かったです。
3つ目「鬼のうみたりければ」は、野崎の前に昔の知り合いの女性が現れて、
異常な話を語りだす、という話。
認知症の義母と、失業で落ち込む夫に悩む彼女の前に、
ある人物が現れ、信じられない出来事が続きます。
その後、一家に何が起きたのかというと…ホラーらしいホラーです。
4つ目の話は、大けがで入院した男性のまわりで、
謎の死が続く「赤い学生服の女子」。
みんな、赤い学生服の女子が寂しがっているから会いに行く、という、
謎のつぶやきを残すのですが、ついに彼にも怪異の影響が。
いちばん展開が意外な作品で、楽しめました。
最後が表題作の「ぜんしゅの跫」で、
うっかり真琴に怪我をさせてしまった琴子が、野崎と奮闘するエピソード。
奇妙な足音がし、人が襲われる‟見えない通り魔”の正体は巨大な化け物で、琴子も苦戦。
その正体と、予想外の退治方法、そして姉妹の活躍が読める作品。
比嘉姉妹のプライベートが、少しのぞけるのも面白かったです。
他作品との絡みも楽しい度:★★★
「などらきの首」に収録されている短編では、
比嘉姉妹以外の登場人物も出ていて、
あ、この人が出るんだ!という意外な人も登場しました。
本作でも、あ~この人ね!という人が、出ます出ます。
シリーズを読めば読むほど、楽しめる内容になっているのが嬉しい。
次回作は、やはり長編でしょうか…非常に楽しみです。
短編は、誰が登場するのかも楽しみ。
読めば読むほど、ますます面白いホラーシリーズです。