【ミステリ】夜の国のクーパー|猫×ミステリ×戦争×ファンタジー!平凡な男が目を覚ますと、胸の上にちょこんと猫が。「ちょっと話を聞いて」と猫が語り始めたのは、戦争で負けた国で起こった事件…そして、摩訶不思議な‟クーパーの兵士”の話。ミステリとしても異世界ファンタジーとしても傑作!

作者名:伊坂 幸太郎   創元推理文庫

目を覚ますと見覚えのない土地の草叢で、蔓で縛られ、身動きが取れなくなっていた。仰向けの胸には灰色の猫が座っていて、「ちょっと話を聞いてほしいんだけど」と声を出すものだから、驚きが頭を突き抜けた。「僕の住む国では、ばたばたといろんなことが起きた。戦争が終わったんだ」猫は摩訶不思議な物語を語り始める―これは猫と戦争、そして世界の秘密についてのおはなし。

敗戦後の事件に慌てふためく人間たちを救うのは、猫と公務員!

杉の化け物、透明になる兵士…クーパー伝説の秘密とは?

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特徴的で素敵な語り手度:★★★★★

主人公の一人は、役所の地域振興部で働く男性公務員‟私”。

妻に浮気され、気分転換に趣味の釣りに没頭しようとしたところ、船が転覆。

気が付いたら知らない土地で、胸の上には猫。

その猫が「ちょっと話を聞いてくれない?」と言い、始まったのが、

戦争に負けて、侵略者の兵士を受け入れざるをえなくなった国の話。

もう一人(?)の主人公は、猫のトム。

まさに猫、という自由な性格で、好奇心で人間の生活を覗きつつ、

住んでいる国が戦争に負けても、「人間は大変そうだな」くらいで済ませるクールな語り手。

ただし、いちいち可愛い。何かと可愛い。

このキュートながら(他の猫もいちいち可愛い!)、冷静な猫であるトムが、

なぜ人間たちのトラブルを、事細かく‟私”に語り続けるのかは、

徐々に明らかにされていきます。

このトムが語る戦争後の状態は、「猫のまったり人間観察」からなるものなので、

緊迫した事態なのに、猫同士ののんきな会話が入ったりして、

ハラハラして読んでいたら急に脱力、なんてことになります(笑)

話を聞いている‟私”も、何かと事態を、趣味の株の変動や仕事上の苦労でたとえるので、

何だか緊張感がない1人と1匹…。

しかし、これが魅力なのです!

猫視点が多いんですけど、何というか、

本当に猫が語ってる?というくらい、リアルに感じられます。

猫とネズミとの問題も挿入されて、そっちも気になる!

不思議な伝説が謎を呼ぶ度:★★★★

主人公が目を覚ました世界で、大きな謎なのが、

「クーパー」という杉の怪物を倒すために毎年選ばれる、兵士たちの物語。

ファンタジーと戦争要素が多いと言っても、この物語は伊坂ミステリ。

きっと伝説には、何らかの秘密が隠されてるに違いない…と思うんですけど、

この「クーパーの兵士の話」というのが、何とも奇妙で、

何だか納得できるようなできないような、摩訶不思議な伝説。

読み進めると、やはり伝説には語られない秘密があったと分かるんですけど、

それ以上の色々なことに騙されていて、

クライマックスは、すごくテンションが上がりました!

軽快な語りからの驚愕クライマックス度:★★★★

緊張状態が続く様子が語られつつも、

主人公と猫のトムが交互に語る部分は、テンポがよく軽妙です。

このままのテンションで続くのかな?と思っていたら、

後半に謎が明かされ、何とそういうことか!と驚き、

その後さらなる驚きと、

思わず笑っちゃうような、ワクワクするクライマックスが!

この最後の展開と、猫たちの魅力にやられました。猫好きに対しての破壊力がすごい(笑)

ミステリとしても秀逸。

読み終わった後に、語られた内容が、1つのテーマに収束して…

これはまさに、「世界の秘密」についての傑作ミステリでした!

伊坂ミステリに、ファンタジーも楽しめる贅沢作品!

可愛く自由な猫に悶絶しながら、熱中できます!

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