作者名：カトリーヌ・アルレ― 創元推理文庫
34歳独身のドイツ人女性ヒルデガルトは、ある朝、新聞の求縁広告の一つに目を奪われた。「当方大資産家、良縁求む。願わくはハンブルク出身、未婚、だが世間知らずでなく、身寄りもなく…」すべてはここから始まった。知性と打算に裏打ちされた手紙が功を奏し、大富豪の妻の座は目前だった。ミステリ史上に燦然と輝く、精確無比に組み立てられた完全犯罪の物語。
間違いなく面白いのですが…。
覚悟して読んだ方がいい、衝撃作です！
最初から罠だらけ度：★★★★
物語は、ドイツ人独身女性で34歳のヒルデガルトが、朝食を食べながら、
新聞の求縁広告に目を通す場面から始まります。
彼女は戦争に巻き込まれたがゆえに、貧しく、孤独で悲しい人生を送らざるを得ず、
天涯孤独で、裕福な暮らしを送ること以外に興味を失ってしまったのでした。
そんなヒルデガルトにとって、結婚したい相手は大金持ちのみ。
訳ありでも、よりお金持ちを捕まえようと、新聞広告に希望を託していたときに、
ある大資産家の出した広告を発見。
それは、非常にビジネスライクで、全く愛を感じさせないものでしたが、
ついに見つけた！と思ったヒルデガルトは警戒しながらも応募し、
大富豪の秘書アントン・コルフと面接をします。
そこで初めて、これが嘘だらけの結婚で、
大富豪カール・リッチモンドの財産を最終的に奪おうとする、
コルフからの共犯の誘いであったと判明するのでした。
2人は妻の座を射止め、リッチモンドの遺書を書き直させて、
彼の死後に大きな恩恵を受けようと、完全犯罪をスタートさせる…という話。
今まで不運続きで、贅沢な暮らし以外に興味を失くしてしまった女性ヒルデガルト。
わがままな大富豪に仕えてきたのに、大した遺産をもらえないことに納得できない、
初老の男性秘書コルフ。
必死で、人生を何とか、自分の納得させられるものに変えようとする2人を待つ運命が…
すごい！
リッチモンドはとにかくわがままなお年寄りで、ヒルデはコルフのアドバイスを受けながら、
わざとつれない言動をしたりして、彼の妻の座を得ようと画策。
この辺りはハラハラなのですが、まだまだ序の口だったのです…。
クライマックスが近づくにつれて、
考え抜かれた恐ろしい犯罪計画だったことが明らかになり、戦慄！
嘘だらけの結婚のハラハラ度：★★★
大富豪リッチモンドの気難しさはすさまじく、ちょっとしたことで機嫌を損ねてしまうので、
財産狙いの2人は翻弄され、読んでいて、もうハラハラ。
それでも何とか頑張っているかなと思ったら、
息つく間もなく、物語はとんでもない方向へ！
途中から、ん？となり、えっ？となり…あれ～⁉となります。
なんと、こういう話だったのねとびっくり。
最初からハラハラだったのに、中盤はさらに心臓に悪い度がアップ！
とにかく、読んでいる間ずっと落ち着かないです。
第2部からは、いったいどうなるのか気になって、なかなか止まらないので注意。
300ページほどの、そんなに長くない作品なので、
時間を確保して一気に読めたらいいかも。
まさかの結末度：★★★★★
後半は、もうどうやってもとりつくろえない状況へ陥ります。
ヒルデガルトもコルフもどうなってしまうのか…と思っていたら、
中盤以降に、最初から仕掛けられていた罠が炸裂！
お、恐ろしい～！これは衝撃的な展開。
名作としか聞いていなかったので、読み終わって唖然としました。
映画とは結末が違うようなので、衝撃度を重んじる人は、
こちらもいいかもしれませんよ…。
ただ、繰り返しますが、覚悟して読んだ方がいいです。
必死で運命を変えようとする、男女の企みとは？
これぞ完全犯罪！恐ろしい、恐ろしすぎる…でも止まらない！
![わらの女【新訳版】 （創元推理文庫） [ カトリーヌ・アルレー ]](https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/book/cabinet/0281/9784488140281.jpg?_ex=128x128)
