作者名:ジョー・イデ ハヤカワ・ミステリ文庫
亡き兄の恋人だった女性に依頼されて、高利貸しに追われるDJジャニーンを助けることになった探偵“IQ”。腐れ縁の相棒とともにジャニーンが住むラスベガスに向かうが、事態は予想よりも深刻だった…中国系ギャングの個人情報を盗んで売ろうとした彼女は今や血も涙もない犯罪者たちに狙われていたのだ!IQの冴えた頭脳は彼女を救えるのか?三冠受賞作『IQ』につづく、興奮と謎解きに満ちたシリーズ第二作!
中国系ギャングとの対決、兄の敵討ち。
謎もアクションもパワーアップの2作目では、アイゼイアの成長も見られます!
火種がいっぱい度:★★★★
たまたまスクラップ場で、兄マーカスのひき逃げ事件の手掛かりとなる車を発見し、
再び調べ犯人を見つけだすか、過去の傷に蓋をして今を生きるか、思い悩むアイゼイア。
そんな時に、当時の兄の恋人だったサリタから、連絡が来ます。
美しく聡明で、現在は弁護士として活躍している彼女は、アイゼイアの憧れの女性でもありました。
彼女に頼まれ、非常に危険な状況に追い込まれている、腹違いの妹ジャニーンを助けることに。
DJをしているジャニーンも恋人のベニーも、ギャンブル狂で多額の借金があり、
あることから手に入れた情報で、なんと中国系ギャングを脅迫し、報復が迫っていたのです!
それは予想以上に、残酷で恐ろしい組織で、アイゼイアも苦戦を強いられることに。
今までにない危険な仕事にたずさわりつつも、
アイゼイアは、兄の死の謎を解こうと、ある人物に接触するのですが、
こちらの問題も、どんどん危険な雰囲気が増してきて…。
さらにラスベガスでのトラブルは、アイゼイアが住む町にも飛び火し、そこでくすぶっていた火種に引火!
兄の事件の捜査トラブルも、ジャニーンの問題も、地元の若者の争いも、
あらあらあら…という勢いで激化し、クライマックスは前作以上の盛り上がりです!
そして、アイゼイア自身の問題も、終局を迎えることになり…。
あっちもこっちもトラブル満載、しかしそれぞれの決着がつく続編になっています。
友人たちも活躍度:★★★
前作で組んだドッドソンは、今回も活躍します。
もうすぐパパになる予定で、すっかり堅気に。最初の登場シーン、印象変わりすぎ(笑)
彼の過去とプライベートの描写もあり、何だか前作のラストからじわじわ好感度がアップ。
ドッドソンの恋人・シェリースが魅力的な女性で、素晴らしい根性を見せます。
前作では、あまり活躍シーンがなかったデロンダは、今回アグレッシブに活躍!
急にアネゴキャラになったような…とにかく、今作で一気に好きになりました。
というか、地元の女性陣が強い…。
アイゼイアが昔お世話になった人も、人生のアドバイスをくれます。
アイゼイアの犬・ラフィンは個性的で可愛い!
緊迫のシーンで見せたマイペースっぷりに、笑ってしまいました。
友人たちは、大活躍でしたが、かなり気の毒な人も何人かはいましたね…。
まぁ、甘くない社会の一面は、今回もがっつり描写されているので。
アイゼイヤ、自分を見つめなおす度:★★★★★
今作、最大の肝は、アイゼイアの葛藤と成長でした!
前作では探偵としてのクールなキャラが際立っていましたが、今作ではよく動揺します。
手掛かりを見つけ、兄が死んだ轢き逃げ事件の真相に迫るのですが、
判明するのは、自分の認識を覆す、意外な事実ばかり。
兄の元彼女への気持ちで、かなり揺れ動いて、普通の若者らしさが見えます。
恐ろしく頭がよくても、事件に対しては冷静でも、プライベートでは不器用な青年なんだ、という一面が描かれた作品でした。
アイゼイアも、少しずつ変わっていくのかな…と思わせるラストが好きです。
1作目のラストが気になって、今作を読んだ人。
3作目も、買うことになりそうですよ!