作者名:ピーター・スワンソン 創元推理文庫
ロンドンに住むケイトは、又従兄のコービンと住まいを交換し、半年間ボストンで暮らすことにする。だが到着の翌日に、アパートメントの隣室の女性の死体が発見される。女性の友人と名乗る男や向かいの棟の住人の話では、彼女とコービンは恋人同士だが、まわりに秘密にしていたという。そしてコービンはケイトに女性との関係を否定する。嘘をついているのは誰なのか? 第二部で真相が明かされた瞬間に第一部を思い返し、驚きで戦慄する――。『そしてミランダを殺す』の著者が放つ衝撃作!
定番ミステリかと思いきや…予想外の恐ろしさ!
「このミステリーがすごい!」海外編2位に輝いた、驚愕のミステリ!
驚愕の展開度:★★★★★
ロンドン在住の若い女性・ケイトは、ある時、
会ったことのない又従兄・コービンと、お互いの住居を交換することになります。
コービンが半年間、仕事によりイギリスで暮らすことになったので、
その間ケイトのフラットを使わせてもらい、
ケイトはボストンでコービンのアパートメントに住まないか、とのこと。
ケイトは、幼少期から不安障害に悩まされ、ある事件でそれが悪化してしまった女性。
しかし、心機一転、ボストンの暮らしを体験しながら、
グラフィック・デザインの学校に通おう!と、住居交換を了承します。
2人は入れ替わりに、お互いの住居に移動。
ボストンに赴いた彼女を迎えたのは、豪奢なアパートメントでした。
ところが、素敵な住居についてすぐに、隣室から若く美しい女性の他殺体が見つかります。
被害者は、その部屋に一人で住んでいました。
ここからが、何とも奇妙な話に!
コービンは被害者を知らないと言いますが、何人かの人間が、2人は恋人のようだったというのです。
ここまででしたら、ミステリでちょくちょくある話ですが、
この食い違いがたどり着く結末が、本作は何とも予想外!
思っていたよりもずっと、恐ろしい展開でした。
3分の1ほど読み進めたところで、物語は戦慄のサスペンスと化し、
「そういうことだったのか!」と驚愕…止まらなくなりました。犯人、ひくわ~!
アパートの住民が飼っている猫が、作品中唯一の癒し成分でした!
にじみ出る不安度:★★★★
こういっては何だけれど、隣室から女性の死体が見つかって、嘘をついてる人間がいる、
という設定自体は、そこまで奇抜ではない、たまに見るもの。
でも、紹介文には「想像を絶する衝撃作」なんて書いてあるし、
「そしてミランダを殺す」もインパクトのある作品だったので、
何かがあるんだろう…と思い、購入しました。
やっぱり、何かがあった(笑)
個人的には、よりう~わ~と思ったのは、本作の方です。
主人公が不安定な女性だし、そのほかの登場人物も、何かしら抱えているものがあるので、
序盤から不穏な雰囲気が強く、中盤が近くなるあたりから、もうハラハラし通し。
「そしてミランダを殺す」に負けない、心臓に悪い感があります。
ミランダは犯罪小説よりで、ケイトはサスペンス感が強い印象。
どちらかを読んで気に入ったら、ぜひ、読み比べていただきたいです。
同じ女性刑事さんも出てきますし。
切り替えがうまい度:★★★
何人かの登場人物の視点から語られ、徐々に事件の真相が浮かんでくる作品。
この語り手の切り替えがうまく、のめり込んでしまいます。
事件の恐ろしさに加え、ケイトが抱える過去と不安障害についても、
読んでいて、こっちまでドキドキしてしまうような描写が。
彼女に好意を見せ始める男性の心情や、秘密を抱えるある人物の苦悩、
おぞましい犯人の異常な思考や行動などがしっかりと、入れ替わりながら描かれています。
この人のパートまで読もう、と思っていると、
新事実が出てきたから、次の人のパートまで読もう、となり、
結局ほとんど一気読みになりました!
ケイトが遭遇した恐怖…誰がその真の姿を知っているのか?
クオリティの高い、緊迫のサスペンスミステリです!