作者名:平山 夢明 ポプラ文庫
ほんの出来心から携帯闇サイトのバイトに手を出したオオバカナコは、凄惨な拷問に遭遇したあげく、会員制のダイナーに使い捨てのウェイトレスとして売られてしまう。そこは、プロの殺し屋たちが束の間の憩いを求めて集う食堂だった―ある日突然落ちた、奈落でのお話。
血しぶきが舞う食堂(ダイナー)で、肉汁溢れるハンバーガー…。
グロさも面白さも、料理の描写もすごい!
映画も気になる、大藪春彦賞&日本冒険小説協会大賞受賞作。
この内容で食欲がわく驚き度:★★★★★
平山さんの作品だけあって、容赦のないスプラッタです。
グロいのが苦手な人には、おすすめしません。
(それでも、他の作品に比べたら、明るいしグロくない方かと…。)
殺し屋たちは容赦なく、グロテスクで異常で、今まで8人いたウェイトレスは全員死亡しています。
どんなブラック職場⁉
ダイナーの中でも、殺し合いが発生し、凄惨なシーンも。
また殺し屋たちが、容姿・性格・能力、いろいろな面でやばい。
こんな話を読んでいたら、食欲が無くなりそうですが、
そうでもないのが、すごいところ!
ダイナーの主人で元殺し屋・ボンベロがつくる料理が、何とも美味しそうなんです。
肉もチーズも、ああ美味しそうな描写…。
ボンベロの料理は食べたいけれど、このダイナーには行きたくない!
他の客に殺される確率が高すぎる(汗)
生命力が半端ない度:★★★★
ちょっとでも対応を間違えたり、客の機嫌が悪かったりしたら、殺されてしまう。
そんな超危険なウェイトレスをやるはめになった主人公。
とんでもない目にあって、生存本能が覚醒したのか、
客の殺し屋+雇い主のボンベロにも殺されそうになりながら、何度もギリギリ危機を切り抜けます。
過酷労働と、いつ殺されるか分からない職場環境で、素晴らしいガッツ…!
この作品には、彼女以外はほとんど一般人が出ません。
彼女がいることによって、殺し屋たちの異常性と、この世界の非情さがよく分かります。
ボンベロが彼女に語ることによって、殺し屋たちの悲惨な事情も垣間見えてきて…。
ボンベロの相棒のブルドッグ・菊千代が、強いし怖いのに、たまにドジなところが
唯一微笑ましいかなぁ。
まさかまさかの結末度:★★★
平山さんの本は、長編と短編集を1冊ずつ読んだのですが、
どちらも、内容がものすごかったです。
短編集は、もう二度と食事前に読むのはやめようと思いました。
長編に至っては、学生の頃に挫折して、社会人になってから再チャレンジしたくらい。
グロくて読めなかったんですけど、読んだら読んだで面白いから困る…。
この2冊のインパクトがすさまじかったがゆえに、ダイナーの結末は、とても意外に感じました。
好きな終わり方とだけ、書いておきます~。
週末、一気読みがおすすめ!
殺し屋が大暴れのクライマックスは、圧巻です!