作者名:サチ・ロイド 創元推理文庫
エネルギー危機を口実にした超格差社会化で一般大衆が切り捨てられ、階級対立が激化した近未来のロンドン。自由を求める人々は己の身体とテクノロジーを武器に高層ビル群を跳びまわり、軍警察の弾圧に対抗している。市民権を持つ少年ハンターは軍警察による殺人を目撃。それをきっかけにスラムの少女ウーマと出会い、ダークネットに隠された秘密をめぐる戦いにその身を投じる!ガーディアン賞候補の傑作アクションSF。
エネルギー危機に揺れるロンドンで、アウトサイダーたちが生存をかけて戦う!
アクション満載の、ボーイミーツガールSF。
疾走感のあるSF度:★★★★
近未来ロンドンでは、エネルギー資源の確保に乗り遅れたせいで、
たびたび停電が起きるなど、深刻なトラブルに見舞われる事態に。
また、貧富の差が広がり、スラム街に住むアウトサイダーたちは、
容赦ない取り締まりを受け、苦しんでいます。
しかし彼らは、ビル群をジャンプで跳びまわる身体能力と、自給自足で過ごす知恵、
優れたプログラム技術を所持。
‟ダークネット”に通信システム・ドリームラインを隠し、軍警察から身を守っています。
あるとき、アウトサイダーのジャンプに憧れる、市民の少年ハンターは、
軍警察に、アウトサイダーの少年が射殺される場面を目撃。
それがきっかけで、スラムの少女ウーマに出会います。
ウーマは、伯母から、アウトサイダー全員の命運を握る、
非常に重要なものを預かっており…。
2人は、ダークネットの秘密を探るため、一緒に行動し始めますが、事態はどんどん深刻に。
近未来で立場の違う少年少女が出会い、
陰謀に立ち向かうため秘密を探るSFで、約350ページと、
比較的コンパクトにまとまっています。
物語も疾走感があって、難解なSFではないので、結構ぐいぐい読めました。
映像化してほしいシーンてんこ盛り度:★★★★★
アウトサイダーたちの、ビルを跳びまわるジャンプシーン。
網膜スキャンやインプラントで、情報を得ながら行動する若者たち。
ネットにダイヴしたときの、仮想現実世界。
軍警察とアウトサイダーたちの、緊迫のぶつかり合い。
などなど、映画にしたら、すごい映像になりそうなシーンがたくさんあり、
読んでいて楽しいです。
ヴァーチャルリアリティでの、一気に別世界に行く冒険と、
現実でのハイジャンプアクションが、両方読めるのがアクションSF好きには嬉しいかも。
読みやすいSF度:★★★
未来のロンドンが舞台ですが、技術が進んでいても、
乗り物や町並みは、そこまで変わっておらず、
イメージして読みやすい作品。
登場人物たちは、自分の立場をはっきりと自覚しながらも、
悩み、生き延びるために必死に頑張っており、なかなか魅力的です。
青春要素のあるディストピアものが読みたい人におすすめ。
自由と未来を守るための戦いに巻き込まれた少年が、行きつく場所は?
スピーディーな展開と、少年少女の葛藤が楽しめるアクションSF。