作者名:スティーヴン・ロイド・ジョーンズ ハヤカワ文庫NV
「彼」が追ってくる。老いを知らず、死をも恐れず、姿かたちさえ定かでない、あの男が……傷ついた夫と幼い娘を連れたハナの必死の逃亡。その逃亡は、彼女の両親、そしてその親たちから代々背負わされた、一族の宿命だった。そして不老の追跡者もまた、違った宿命を背負う者だった。19世紀ハンガリーから現代へ、歴史の影で繰り広げられる壮絶な闘いを描くヒストリカル・ホラー巨篇!
容姿を自在に変え、秘かに迫る追跡者ジェイカブ。その魔手から逃れるため、彼女たちの一族は常に身を隠し、不安とともに暮らしてきた。ハナの母ニコールも、その母アリスも、いやその先の代々の親たちも。ハナは娘リアのため、その因縁を断ち切る決意を固める。ジェイカブといえども不死ではない。だが、最後の対決を前に、彼女の前には意外な人々が……彼女は、終わりなきこの恐怖から逃れられるのか?
この怪物、超ストーカー!
吸血鬼や人狼などが好きな人、おすすめです。
特異な一族の悲劇度:★★★★
謎の一族、ホス・エレテク。
独自の文化を築きつつも、人間社会の影にひっそりと溶け込み存在した、
見た目は人間と変わらない、しかし決定的に異なる部分のある人々。
何となく、貴族がいる中世が舞台の、吸血鬼映画とかに出てきそうな雰囲気かな?
厳しい掟はあるけれど、一族としては結束している感じです。
主人公たちを追い掛け回すのは、ホス・エレテクのはぐれ者・ジェイカブ。
彼と、彼に追われることになった主人公の一族。
両者の運命が絡み合う、大作です。
現在進行形で追われる主人公ハナの物語。
ジェイカブの壮絶な過去の物語。
ハナの両親の葛藤の物語。
この3つが交互に語られて、一族の因縁が明らかにされます。
どのパートもサスペンスフルで、心臓に悪いです…。
ストーカーにどん引き度:★★★★★
怪物ジェイカブは、愛した女性の面影を求め、ひたすら子孫をストーキング。
誰かに成りすましているから、本当に怖い。
寿命が全然違うから、娘の娘の娘…とかになっているんですけどね(汗)
もう執念ですよ。
このストーキングの歴史が、すごく自分勝手!
うまくいかないと、癇癪を起こして、見境なく危害を加えます。
ジェイカブがはぐれ者になってしまったのは、事情があったので、最初は同情してたんですけど…。
途中から、いい加減にしなさい!と言いたくなる、暴走っぷり。
どんな生き物でも、思いやりと協調性って、大事…。
母の頑張り度:★★★
アナ、アリス、ニコール、ハナ。
一族の女性は、ジェイカブの影におびえつつも、何とか逃げようとします。
ジェイカブの暴走のきっかけとなった女性エルナの、芯の強さが受け継がれているんでしょうか。
家族も事情を知っており、自らの命に代えても守ろうとします。
しかし、あまりに犠牲が多すぎて…。
ハナは、ついにジェイカブを退治する決意を固めます。
ホス・エレテクについて調べる謎の集団が乱入する中で、ハナは娘を守れるのか。
緊迫のサスペンスです!
不思議な一族をめぐる、壮大な逃走劇。
SFホラー映画が好きな人に、おすすめです!