作者名:ピーター・スワンソン 創元推理文庫
実業家のテッドは空港のバーで見知らぬ美女リリーに出会う。彼は酔った勢いで、妻ミランダの浮気を知ったことを話し「妻を殺したい」と言ってしまう。リリーはミランダは殺されて当然だと断言し協力を申し出る。だが殺人計画が具体化され決行日が近づいたとき、予想外の事件が……。男女4人のモノローグで、殺す者と殺される者、追う者と追われる者の攻防を描く傑作ミステリ!
緊迫の第1部が終わったときに、物語は様相を変える!
最後に勝つのは、誰?
ロマンチックな悪夢度:★★★
空港で出会った男と女が一緒に計画を立て、親しくなっていく。
シチュエーションとしては、ロマンチックですね。
男性がすでに結婚していて、妻の不倫に悩んでいなければ。
計画が、妻の殺人計画でなければ。
声をかけてきた女性が、殺人に対する独自の理論を持っていなければ…ですが。
裕福でハンサムなボストン在住の実業家・テッドは、バカンスで行った海辺の町に惚れこみ、
土地を購入して、豪華な別宅を建設中。
しかしある日、完成間際の家で、
妻ミランダと建設業者のブラッドの浮気現場を目撃することに。
思い悩む彼は、空港のバーでたまたま一緒になった美女・リリーに、
自身の悩みを打ち明けてしまいます。
話を聞いたリリーは、ミランダは殺されて当然だと言う…。
それどころか、殺人に協力するとまで言い出すのです!
赤の他人の自分が共犯になれば、かなり有利に進められると提案するリリー。
こうして、2人の殺人計画がスタートするのですが、
テッドと交互に語られるリリーの過去は、かなり不穏な雰囲気で、
現在のパートと合わせて、全体的に、よくないことが起きるぞ起きるぞ~感があり…。
夫テッドと、共謀したリリーが、少しずつ惹かれ合うのも、
これから起きる悪夢と惨劇を予感させるものにしか、思えませんでした。
しかし、第2部からの展開は、読めませんでしたねー。
リリー、予測できない女度:★★★★★
第1部は、テッドとリリーが、交互に語り手になります。
テッドのパートが、主に殺人計画の進展を語っていくのに対し、
リリーのパートは、彼女の少女時代から語られます。
序盤から、何となくそうかなとは予想するんですけど…。
リリー、一筋縄ではいかぬ。
冷静で、手強いです。
殺人の協力者としては、かなり心強いかもしれませんが(汗)
しかし、今回の殺人計画に関しては、彼女にも予測できない事態が…。
恐ろしい人間は、誰ですかね…?
入り乱れる思惑度:★★★★
第1部、第2部、第3部。
どれも、2人の人物が、交互に語り手になります。
誰が語るのかが、問題でしたね。
‟男女4人のモノローグ”と書かれていたので、
不倫問題に関係する4人がひたすら交互に語っていくのかなと思ったら、
そうでもなかった…。
とにかく、1部から2部へ2部から3部へ、と進むたびに、
物語の形が変化していくというか、
それゆえ、予測できない作品でした。
ああ、とにかくハラハラした~。
殺すものと殺される者の攻防戦は、誰も予期せぬ事態を招く!
読むのが止まらない、スリリングな犯罪小説です!