作者名:森見 登美彦 角川文庫
「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作。
青春恋愛ファンタジーの、大傑作!
乙女がいるところに、幸せあり!
何回読んでも面白い度:★★★★★
大学の後輩「黒髪の乙女」に恋をし、なんとか彼女の目に留まろうとする「先輩」。
奇人変人ぞろいの京の街で、ありえない冒険を繰り広げる、摩訶不思議な恋愛劇を、
先輩と乙女が、各々の視点で交互に語っていきます。
2人の語り口・言葉遣いが、なんと軽妙で面白いことか!
常人離れした器を持つ乙女の、丁寧かつずれまくった語りは、おかしくて癖になるし、
平凡な思考ながらも、やっぱりずれてる暴走気味な先輩の語りも、思わず笑ってしまいます。
とにかく、個人的には、乙女の語るパートが好きでたまらない!
どういうお家で育ったら、こうなるんだろうか…(いい意味で)。
コメディ全開ですが、ハッとさせられる部分もあり、読む人の印象に残る傑作です。
いちいち笑える度:★★★★
4つの章に分かれていて、
第1章「夜は短し歩けよ乙女」は、乙女がお酒を求めて、夜の先斗町界隈へ冒険に出る話。
第2章「深海魚たち」は、古本市を、ある絵本を求めてさまよう話。
第3章「御都合主義者かく語りき」は大学の学園祭で起きる、大騒動の話。
第4章「魔風邪恋風邪」は、謎の風邪に占拠された京都を、乙女が奔走する話。
どれも、本当に笑えます。
個人的に、「夜は短し」と「御都合主義者」がとくに好き!
偽電気ブラン対決、阿呆な詭弁踊り、地獄の火鍋大会、
パンツ総番長の訳の分からん決意、ゲリラ演劇「偏屈王」…。
そして奇想天外なバカ騒ぎの後で、美しいファンタジーシーンが!
個性ありすぎ度:★★★★
乙女も相当ですが、乙女が出会うのも変人奇人ばかり。
現実離れしすぎて、‟この人に至っては、妖怪の一種だな”と、
勝手に納得しながら読んでいました(笑)
青春恋愛エンタメ小説ですが、
絶妙にファンタジーが練り込まれていて、
なんとも不思議で魅力的な世界観!
乙女には、いつまでも「おともだちパンチ」を駆使し活躍してもらいたいものです。
映画は、ところどころ話が変わっていましたが、
個性的な絵柄が合っているなぁと思いました。
山本周五郎賞受賞の、有名作。
森見さんを読むなら、まずこれをおすすめしたいです!