作者名：ジャック・カーリィ 文春文庫
死体は蝋燭と花で装飾されていた。事件を追う異常犯罪専従の刑事カーソンは、30年前に死んだ大量殺人犯の絵画が鍵だと知る。病的な絵画の断片を送りつけられた者たちが次々に殺され、失踪していたのだ。殺人鬼ゆかりの品を集めるコレクターの世界に潜入、複雑怪奇な事件の全容に迫ってゆくカーソン。彼を襲う衝撃の真相とは。
連続殺人鬼の‟アート”に関わった人間が死ぬ…。
カーソン、狂気の世界に足を踏み入れる！
前作よりレベルアップ度：★★★★★
前作「百番目の男」は、カーソンの葛藤と、犯人の意外過ぎる目的が、
まず印象に残るスピーディーな展開のミステリ。
今作は、ミステリとしてのクオリティが、かなり上がっているように感じられました。
（もちろん、前作も面白いんですけど）
明らかに異常者による犯行現場、
裁判中に殺害された、アーティストとして有名な殺人鬼、
被害者に送り付けられた、彼によるアート。
‟死のアート”のコレクターたち、
つぎつぎ判明する、意外な繋がり。
伏線が張られ、緻密に組み立てられたストーリーに騙される、良質なミステリになっています。
いや本当に、今回の謎は、気持ちよく騙されました～。
これを読んで、もうこのシリーズ集めよう！と決心。カーソンも好きだし。
3作目「毒蛇の園」を、その場で注文したのでした。
今度の敵は怪物度：★★★★
過去に犯行を重ね、裁判中に信者に殺された殺人鬼、へクスキャンプ。
彼も怪物でしたが、現在まさに犯行を重ねている犯人も、とんでもない怪物です。
クライマックス、その驚愕の正体と、恐るべき頭脳が明らかになったとき、
「今後、このシリーズを書いていくときに、これ以上のインパクトの犯人だせるのかしら？」
と、いらん心配をしてしまったくらい（笑）
3作目以降も、しっかり面白いので、ご安心ください。
でも、犯人の行動の目的がすべて明らかになったとき、
「この頭脳、もっといいことに使えないものか…。」と思うくらい、手強い犯人。
まぁ、性格的に無理だろうけれども…。
スケールアップ度：★★★
今作では、謎の解明のために、フランスまで捜査に行っちゃったり、
恐ろしいコミュニティに潜入したり、
兄ジェレミーに、とんでもない頼みごとをしたりと、
物語のスケールが大きくなっている印象です。
ミステリとしての質も上がっているし（3分の2くらいで、訳が分からなくなる謎が発生！）、
登場人物の描写もがっつり、
アクションも、もちろんあります（カーソンも、やっぱりピンチに）！
「百番目の男」を読んで、シリーズを集めようか迷っている方。
この2作目を読んでから、決めるのをおすすめします！
