作者名:マック・ロジャーズ脚本→ナット・キャシディ小説化 ハヤカワ文庫SF
あなたに初めて会ったとき、それがわたしの人生が終わった瞬間だった――わたしはダグ。11年前の夜、巨大なクルミのような形をした小型宇宙船が、町の海沿いにあった海軍基地に墜落した。それはやがて〈物体E〉と呼ばれるようになり、研究所に姿を変えた基地で秘密裏に研究されていた。わたしはそこの警備主任だった。そしてあの日、わたしの部下として新人警備員のあなたが配属されてきた……驚愕のSFサスペンス!
当たり前の幸せを、2人の状況が許さない!
とにかく、ずっとハラハラしたい人におすすめです。
心臓に悪い度:★★★★★
新人の年下男性に、主人公ダグが一目惚れをすることから、物語はスタートします。
これだけなら問題ないはずなのに、2人の職場は、宇宙からの謎の物体を研究する秘密基地。
元軍人たちが働き、秘密保持と冷静な行動が何よりも優先され、
職員同士の恋愛には恐ろしい処分が!
嫌だなぁ、こんな職場…。
しかし、2人はどうにも止まれません。
状況を変えるために、一世一代の賭けに出ますが、それは許されざる行動で…
2人のことはバレてしまうのか?
うまくしがらみから、逃げられるのか?と、
もうずっとハラハラハラハラ…心臓に悪いったら!
ダグの葛藤と、不安と恐怖が、
読者に乗り移ってくるようで、ああ読むのが止まらない…。
SFと恋愛、というとマイクル・コーニイの「ハローサマー、グッドバイ」を読みましたが、
あの作品はキュンキュン、こちらはハラハラかつドロドロで、
全く違う恋愛劇になっています。
どっちも面白いのだけは、共通していますが…。
女には、いろいろな顔がある度:★★★
ダグは本来クールでタフで、まさに女軍人といったところ。
それなのに、あれよあれよと恋の罠に。
鉄壁のガードを持つ大人の女でも、突然熱い一面が出てくるものですね。
ダグは本当にクールなので、恋に燃える姿は何だか愛しくなってくるくらいです。
普通の職場で働いていたら、人生の春だね良かったね!なのですが…
そうならないのが可哀そうです。
まぁ、途中から「そこまでやるか?」と思わんでもないですが(汗)
基本的な能力が高く、肝が据わっている人物が、
ひとたび暴走すると、大変なことになるのが、よ~く分かる作品でした。
ちなみに他の女性陣も、なかなか個性的です。
正体不明度:★★★
物体Eには、苔が生えた生死不明の宇宙人モスと、
動き出すと人間に害を及ぼす装置ハープが存在します。
モスは生きているのか?
ハープは何のために存在するのか?
といった謎は、最後に明かされるのですが、これがまた意外。
真実によって予想外の結末が訪れます。
結末は好き嫌いが分かれるかもしれませんが、私は好きです。
ダグって、結局すごい性格だなぁ…。
謎の宇宙物質×暴走した恋=収拾がつかない大パニック!