作者名:ロビン・スローン 創元推理文庫
青年クレイが再就職した“ミスター・ペナンブラの24時間書店”は不思議な店だった。ろくに客も来ないのに終日営業で、本棚のあちこちに暗号で書かれた謎の本があり、少数の顧客がそれを借りていくのだ。クレイは友人やコンピュータに助けられ本の解読に挑むが、それは五百年ものの謎を解く旅の始まりだった!謎解き、冒険、友情その他盛りだくさんの爽快エンターテインメント。
古書店・稀覯本の世界と、世界最先端企業のハイテクが融合?
現代人に読んでほしい、「大切な何か」の本です!
若者らしい感性度:★★★★
主人公は、サンフランシスコ在住の青年・クレイ。
美術学校を卒業後、ロゴなどのデザインをする仕事をしていましたが、不況で倒産。
求職中に、ひょんなことから発見した、奇妙な書店で働くことに。
働いているうちに、不思議な店と客層に、好奇心を抑えられず、
恋人と友人を巻き込んで、謎ときの冒険に繰り出します。
語り手は、一貫してクレイ。
ちょっと軽いところもある、いかにも今どきの男の子、といった感じですが、
自分にできる集客方法を考えたり、クリエイティブなことに関する知識に興味津々だったり、
何だかんだで真面目。
才能あふれる友人たちに対し、嫉妬を感じると素直に認める、裏表のあまりなさそうな子。
最初は正直、クレイの、おしゃべりしているかのような語りに慣れなかったんですけど、
だんだん、ユーモアが好きになってきて、ところどころ吹き出すはめに(笑)
ハムスターのネタが特に…。
クライマックスのファインプレーには、頑張ったね!と言いたくなりました。
若者の視点で、古典的な面と新技術が語られるのは、読んでいて何だか新鮮!
目新しさと古めかしさ…両方楽しむ度:★★★★★
「ペナンブラ氏の24時間書店」と、その客、関係者たちは、
年配層が多く、昔からの古典的手法を守り続けます。
抱えている謎も、なんと500年物!
対して、この不思議の存在に気づき、こっそり参入することにした、
クレイと友人らは、現代情報社会の申し子たち。
グーグラーが混じっているくらいですしね。Googleに行く場面もあって、面白い!
本当にこんな感じなのかな?とか思いながら、楽しく読みました。
かと思えば、秘密結社の地下空間に、潜入したり…。
「古典的魅力と最新技術のすばらしさ」が、見事に調和した、
両方楽しめる、ワクワクする作品になっています。
ドキドキの冒険度:★★★
サンフランシスコの街の古書店から始まって、世界的企業の広大な職場、
ニューヨークの秘密結社、人生の書が収められた地下空間、
ニット刺繍の博物館、ネヴァダの度肝を抜く巨大なある施設。
謎を解くために、クレイは思いがけない冒険をすることに。
後半、予想外のものにヒントが隠されていた事実と、ついに目的のものにたどり着いたシーンは、
クレイと一緒に熱くなりました!
わきを固める、個性的な友人たちも魅力的。
普通の若者に見えて、実はとんでもないスキルの持ち主って、かっこいい!
謎解きあり、友情と青春あり、冒険と成長ありの、後味爽快小説。
昔、好きだった本を、読み返したくなる作品です。
読んだら言いたくなる「フェスティナ・レンテ」!
現代の冒険物語を、楽しんではいかがでしょう?