作者名:ジャック・カーリィ 文春文庫
きわめて知的で魅力的な青年ジェレミー。僕の兄にして連続殺人犯。彼が施設を脱走してニューヨークに潜伏、殺人を犯したという。連続する惨殺事件。ジェレミーがひそかに進行させる犯罪計画の真の目的とは?強烈なサスペンスに巧妙な騙しと細密な伏線を仕込んだ才人カーリイの最高傑作。
ジェレミーが脱走⁉大都会で繰り広げられる、追跡劇の行方は…。
ついに兄の秘密が明かされる、待望の第4作!
ファン待望度:★★★★★
主人公・カーソンは、ユーモアと機知に富み、今までいくつもの事件を解決してきました。
彼の活躍と成長を描いた本シリーズ、最大の特徴と言えば…
カーソンの兄・ジェレミーが、天才的悪魔的頭脳を持つ、連続殺人鬼だということ!
1作目・2作目と、施設に収容されながらも、(かなりアレコレ注文つけながら)カーソンの捜査に協力してきたジェレミーでしたが、
今作、脱走して、ついに主役クラスに!
ジェレミー脱走とともに、カーソンも知っているある人物が殺害され、序盤から衝撃的な描写が。
突然のとんでもない事態に混乱するカーソンですが、
彼の移動の痕跡をたどってニューヨークへ赴き、地元の刑事と協力しながら必死で捜査をします。
(ハリーも、地元でナイスサポートの活躍)
田舎者の刑事と馬鹿にされつつも、弟ならではの分析力で、兄を追うカーソンですが、
ジェレミーの悪魔的頭脳はあまりに手強く…。
さらに、猟奇的な殺人事件が続き、女性政治家を脅迫する不気味な事件も起き、
ハリーの方も予想外の事実を見つけ、事態はどんどん混乱していきます。
そしてクライマックスは、本シリーズらしくアクションと騙されてた!と言いたくなる謎解きが!
(そして本作らしく、魅力的なニューヒロインが苦労します。)
今まで以上に、カーソンの家族に対する葛藤、ジェレミーの抜け目なさと心情が描かれるファン待望の作品。
そして、ついに明らかになるのは、意外過ぎる真実…要注目の4作目なのです。
兄弟の葛藤度:★★★★
今作の注目ポイントは、やはり何と言っても、今まで以上に、兄弟の葛藤が描かれていること。
少年時代の事件の、事情が事情だったために、兄を憎み切れないカーソン。
弟に対し愛情を持ちつつも、紛れもない犯罪者であるジェレミー。
この兄弟が、お互いに折り合いをつけられるのか?というのが、
やっぱり見どころかなぁと思います。
ジェレミーの脱走に、ある人物の謎の行動、
女性政治家への不気味な脅迫行為の意味、過去の事件で浮上した怪しい人物、
などなど、今回もつぎつぎに謎が。
今までスポットが当たっていなかった人物の過去と、周りの葛藤も描かれていて、
シリーズの中でいちばん好きかも…。
やはり手強いジェレミー度:★★★
ジェレミー、施設でのブランクを感じさせない、警察からの逃走っぷり。
犯罪者レーダーと、素晴らしい頭脳は健在です。
余裕たっぷりで逃げ回りながら、何やら画策している様子…殺人犯なのに、魅力的なのが困りもの。
2・3作目にも、とんでもない頭脳を誇る人物がいましたが、
やっぱりジェレミーは別格かも!
カーソンの、弟ならではのプロファイリングもなかなかです。
今回は、強烈なサイコサスペンスで、アクションあり、緊急事態あり、過去との対決あり!
読み応えたっぷりの、傑作ミステリになっています。
シリーズで、今作がいちばん好きという人も、多いのでは?
緊迫の追走劇、盛り上がる4作目です!