【SF】夏への扉|「1970年12月3日、僕と猫のピートは、夏への扉を探していた。」友人と恋人に裏切られ、発明を奪われたダニイは、冷凍睡眠を利用して、30年後の未来で目覚めようとするが…。彼が未来で見たものとは?発明家の時間をめぐる冒険を描いた、巨匠の名作!

作者名:ロバート・A・ハインライン  ハヤカワ文庫SF

ぼくの飼っている猫のピートは、冬になるときまって夏への扉を探しはじめる。家にあるいくつものドアのどれかひとつが、夏に通じていると固く信じているのだ。1970年12月3日、かくいうぼくも、夏への扉を探していた。最愛の恋人に裏切られ、生命から二番目に大切な発明までだましとられたぼくの心は、12月の空同様に凍てついていたのだ。そんな時、「冷凍睡眠保険」のネオンサインにひきよせられて…永遠の名作。

失意の果ての冷凍睡眠…しかし、ダニイはそこで終わらない!

時間ものならではの仕掛けが楽しめる、SFの傑作長編です。

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コールドスリープを扱った名作!度:★★★★★

6週間戦争が終わり、何とか平穏を取り戻した世界。

兵役を終えた青年ダニエル(ダニイ)は、自由な立場で発明品を作り生きていきたいと、

自分と友人マイルズ、恋人のベルの3人が中心となる会社を立ち上げます。

ダニイが発明し、マイルズが経営手腕を発揮し、ベルが補佐するやり方は順調で、

ダニイとベルは婚約。

しかし、実はマイルズとベルは、会社をより大きくしようと企んでおり、

2人で共謀して、ダニイを追い出してしまうのです。

彼に残されたのは、冬になると夏へ続く扉を探す、オス猫ピートと、

慕ってくれるマイルズの継娘リッキイのみ。

このころ、軍が開発した技術から、冷凍睡眠保険ビジネスが注目を集めており、

ダニイは、いっそ30年ほど、眠りについてしまおう!と決意します。

しかしやはり、裏切った2人との決着はつけねばと、

ピートとともに乗り込むのですが、これが思わぬ展開を招くことに。

色々あった末に、ダニイは30年後の未来社会で目覚めたのですが…。

彼の問題と冒険は終わっておらず、むしろここから、

物語は、更なる意外な展開を見せるのでした。

1956年発表の作品ですが、いつ読んでも面白い、SFの名作です!

引き込まれる時間旅行SF度:★★★★

物語の世界は、1970年代ですでに、冷凍睡眠が商売になっているような社会。

主人公は、さらにそこから、一気に30年分の時間を飛ばして未来へ。

だいぶ前に書かれた作品なので、時代の数字は少し違和感がありますが、

現代人が読んでも、楽しめる近未来SF作品です。

1970年の時点での、歴史の流れや技術の進歩が、丁寧に描かれ、

そこから作者がこうなっているであろう、という30年後の未来が展開しているので、

読者も、へぇ~と感心しながら、引き込まれます。

そして、30年後の仇敵との再会や、見失った大切な存在の捜索、

未来の発明品に発見した意外な事実、などが続き、

物語はスピーディに進行。

時代の変化に戸惑っても、物事がうまくいかなくて落ち込んでも、

持ち前の発明に対する好奇心が抑えられず、

何だかんだで、生き生きとしているダニイ。

彼にグイグイ引っ張られ、ハラハラしつつも、楽しく読める作品でした。

素敵な相棒度:★★★

ピートの飼い猫・護民官ペトロニウス(ピート)は、

とても魅力的な相棒。

全体的に出演して、つねに大活躍!というほどでもないのですが、

タイトルにも一役買ってきて、この作品に欠かせない存在の猫です。

ジンジャエールを愛飲し、家にたくさんあるドアのうちのどれかが、

快適な夏に繋がっているに違いないと信じ、

猫の扱いを心得ていない者には容赦しない、個性的かつとても猫らしい猫。

ダニイを慕う少女リッキイも、

新しい友人となる、未来の住民たちも、魅力的ですが、

何といっても、強烈に印象に残るのは、ピートなのでした。

寒い冬から脱出できる、夏への扉は見つかるのだろうか?

読みやすいSFの名作なので、学生にもおすすめです。

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