作者名:ニーナ・ブラジョーン 創元推理文庫
首のない死体。野獣に噛みさかれたような傷跡。ジェヴォーダン地方では、謎の死が続いていた。犠牲者は三十人を超え、ほとんどが若い女や子どもだった。狼か未知の獣の仕業か。獣の正体に興味を抱いた博物学者の卵トマは、襲撃のあった現場付近の領主の城で、“野獣”に襲われて生き延びたらしい少女に出会う。だが…。十八世紀フランスを舞台にした、珠玉のゴシックミステリ。
おどろおどろしい事件の中で、芽生える美しい恋!
現代ミステリ以外も読みたい方、18世紀フランスに惹かれる方、いかがですか?
美女と野獣のキュンキュン度:★★★★
ジェヴォ―ダン地方の、謎の獣による殺人事件に興味を持った、ヴェルサイユの裕福な商人の息子・トマ。
事件の起こった地方領主の令嬢・イザベル。
この2人のロマンスがどうなるのかが、謎の獣と同じくらい気になります!
なにせ殺人捜査上で知り合うし、殺人はつぎつぎ起こるし、2人のまわりの人間関係は、何かとトラブルが。
身分差もありますしね~。
トマも、イザベルも、城や村の人々も、いろいろ抱えているんです。
2人が接近するときは、終始ハラハラ。
ふいに気持ちを通わせるときは、そのぶんキュンっとなりますね。
主人公の成長に悶絶度:★★★★★
トマは、最初は根性も見せるけど、基本的に都会のおぼっちゃんなんです。
それが、だんだん命がけの行動を起こすようになり…。
もともと熱い性格だったのが、獣に対する興味と、被害者への同情と、何よりイザベルへの恋で、
一気に爆発しちゃったんですかね。
父親ともいろいろあって、最後の冒険へのチャンスだ!という気持ちもあると思います。
第3部では、みんなの度肝を抜く行動を!
そのまま一気に、クライマックスを駆け抜けます。
イザベルも、非常に芯が強い女性ですね。
というか、気が強い女性が多いかも。
時代背景にも注目度:★★★
ルイ15世統治下の、革命前のフランス。
「ベルサイユのばら」を呼んだ人は、‟んっ?”となる名前も出てきます。
あ、マリー・アントワネットは出ないですけど。
ヴェルサイユ宮殿で、貴族が着飾っていて…というのは、何となく想像しやすい時代かと思います。
貴族と平民では、がっちり身分が分かれていて、地方で捜査中も確執が。
そんな中でも友情が芽生えたり、恋が始まったり、最後には協力し合ったり!
関係が変化していくのも、見どころです。
第4部からラストまでは、一気読みしました!
トマはスケッチで捜査に協力するんですけど、自分なりにプロファイリングみたいなこともするんです。
トマ、頑張ってるのよね必死に(泣)
もう、この子結構頼りになるんですよ!と、肩を持ってあげたくなりました…。
イザベルも、恐怖から逃げずに頑張る女性。
ラストは、必死に活路を見出そうとする2人の前に、
最大のピンチと、事件の真相が… 読むのが止まらないゴシックミステリです!
「ジェヴォ―ダンの獣」事件の謎に挑む、若い2人を待つ驚愕…!
美女を連続殺人犯の野獣から守る、そんな物語を読んでみませんか?