作者名:林 真理子 小学館
野田奈央子33歳、丸の内の大手商社社員、独身。上司からも、同僚からも、部下からも頼られる存在。…なのに自らの恋愛運にだけはなぜか恵まれない。そんな奈央子が次から次へと出合う恋愛の数々。合コン、お持ち帰り、セフレ、不倫、泥沼…。OLの性も、派遣社員の怒りも、そして結婚運に恵まれない女たちのいらだちも。すべてをリアルすぎるくらいリアルに描ききった、林真理子の代表作。主人公野田奈央子を篠原涼子が演じて話題になった、大ヒットドラマの原作。
篠原涼子主演のドラマとは、全然違う展開です。
まさか、まさか、こんな結末になるなんて!
都会のOLを体験度:★★★★
主人公の野田奈央子は、東京の一流商社に勤める、33歳独身OLです。
スタイルの良い美人で、聡明で、さっぱりした筋を通す性格で、後輩から「アネゴ」と呼ばれる存在。
女としてとても魅力的なのに、なぜか結婚とは縁がありません。
素敵な出会いと結婚を望み、真面目に働いているのに、
本人の世話焼き体質ゆえに、自分自身のトラブルはもちろん、
慕ってくれる後輩女子のトラブルにまで巻き込まれてしまう…。
そんな彼女の目線から、女性の生き方についての物語が、リアルに鋭く描かれています。
普段は、SFとかミステリばかりで、こういう小説は読まないんですけれど、
ドラマを観た母が買ってきたので読んだら、もう止まらず!
奈央子の考え方も、都会のOLの暮らしも、どろどろの不倫劇も、女同士の会話も、どれも興味深いです。
読んでいくうちに、のめりこんで、
途中から、一流企業で働く東京のOL気分に、ちょっと浸って楽しんだりなんかして(笑)
日常のこまごまとした描写も、たくさんあるんだもの…。
女のリアルな悩み度:★★★★★
自分が医療従事者で、会社で働くOLさん、というのがよく分かってないから、簡単にリアルとかいえないんですけど、
作品紹介とかでよくリアルと書かれているので、
ふんふん、こんな感じなんだ~と興味津々で読んでしまいました。
もちろん、リアルなだけでなく、とんでもない展開になっていく小説だからこそ、面白く読めるのでしょうが…。
もう、本当に次から次へと、アネゴはトラブルに巻き込まれるんだから(汗)
深い悩みを抱える女性たちが、アネゴに相談を持ち掛け、アネゴはアネゴで、自分の生き方に悩みます。
アネゴはいい人なんだけれど、もうちょっと自分のためにずるくなってもいいんじゃないか、なんて思ってしまいました。
トラブル相談役としての自分を捨てられない彼女は、
何とか折り合いをつけて、自分の幸せをつかもうとしますが、
彼女の人生を変える出会いが、物語をとんでもない方向へ導きます。
読んだ後、しばらく「…………。」となりました。
新ジャンル作ってしまった度:★★★★
ドラマと結末が違うそうなので、ドラマ最終話のあらすじをチェックしました。
…予想以上に、変わってる!
ドラマの後で読む人、もう別物だと思った方がいいかもしれませんよ。
特に、結末は衝撃的ですから…。
最後の数行がすごい!
もう、恋愛〇〇〇という新ジャンルを作ってしまった感じです。
ドラマを全話見る時間がない人におすすめ、とか言いたかったんですけど、
もはや別物なので、言えなくなってしまった(汗)
でも、面白いので、単純に女性の心理を描いた傑作小説として、おすすめします。
「うまく生きる」って、何故こんなにも難しい…。
自分の生き方、幸福の価値観について、考えさせられる作品でした。