作者名:デイヴィッド・ゴードン ハヤカワ・ミステリ文庫
ハリーは冴えない中年作家。シリーズ物のミステリ、SF、ヴァンパイア小説の執筆で何とか食いつないできたが、ガールフレンドには愛想を尽かされ、家庭教師をしている女子高生からも小馬鹿にされる始末。だがそんなハリーに大逆転のチャンスが。かつてニューヨークを震撼させた連続殺人鬼より告白本の執筆を依頼されたのだ。ベストセラー作家になり周囲を見返すために、殺人鬼が服役中の刑務所に面会に向かうのだが……。
この展開は読めない…。
アメリカで絶賛され、日本で(!?)映画化されたサスペンス!
小説家の焦燥が迫る度:★★★
ハリーはしがない作家で、いろいろなペンネームを使い作品を書いています。
SFやハードボイルド、ポルノに吸血鬼…。
そこそこは売れていますが、全体的にパッとしません。
家庭教師をしている、スーパー女子高生クレアに、
ビジネスのアドバイスやダメ出しをいただく始末。
まぁ、この子の如才なさが半端ないのもあるんですけど。
重苦しい作品の中で、彼女のユーモアは光りますし、
なんだかんだでハリーを支えてくれます。
ヒット作がないまま年を重ね、母は死去し、
だんだん‟売れそうな本”を書くようになり、昔の彼女を頻繁に思い出す。
ハリーの切羽詰まった心情が、とてもリアルに描写されていて迫ってきます。
数少ないファンに会うシーンは、良かったね!と言いたくなるほど。
展開よめません!度:★★★★★
連続殺人鬼ダリアンの出す条件は、自分のためだけのポルノ小説を書けというもの。
刑務所にファンレターを送る女性を取材して、リアルなものを書け、と要求してきます。
いやいやながらも、ハリーが取材を続けていくと…
とんでもない事態に!
ハリーも、警察も、世間も大パニックになります。
こんな展開になるとは…。
序盤は、売れっ子作家になれない苦悩が中心なんですけど、
中盤からは、一気に緊迫のサイコサスペンス!止まらなくなりました!
ハリーの小説も気になる度:★★★
ハリーの書いた、いくつかの作品の一部が挿入されます。
読んでいると、こっちも気になってきちゃう(笑)
特にハードボイルドの探偵ものの、続きが読みたい。
何だか、傑作の予感がするんです。
…続かないんですけどね(泣)
他の話が挿入される本って、謎のお得感があって好きです。
作品を読んでいて、より楽しく、より世界観に浸れる気がします。
犯人が塀の中だからと、安心するなかれ!
主人公を襲う異常事態に、慄然とします。