作者名:中山 七里 宝島社文庫
凄惨な殺害方法と稚拙な犯行声明文で世間を震撼させた「カエル男連続猟奇殺人事件」。十ヵ月後、事件を担当した精神科医・御前崎教授の自宅が爆破され、その跡からは粉砕・炭化した死体が出てきた。そしてあの犯行声明文が見つかる。カエル男の報復に、渡瀬&古手川の刑事コンビもふたたび動き出す。さらにカエル男の保護司だった有働さゆりもアクションを起こし……。
サイコサスペンスの傑作に、まさかの続編が!
無鉄砲・古手川と、冷静沈着・渡瀬の戦い、ふたたび!
変わらずおぞましい度:★★★★
前作は憎しみと、司法の大きな問題を描いた、どろどろのサイコサスペンスでしたが、
続編もおぞましさは変わらず!
精神疾患と裁きの問題は根深く、人々は恐怖を思い出し、つぎつぎと死体が!
ちなみに、古手川刑事の無鉄砲も変わってないです。
頑張りっぷりと、体張りまくるのも、変わっていませんが(汗)
命足りないなぁ、この人…。
凄惨な死体の近くには、あの不気味極まりない犯行声明文が見つかる上に、
第2のカエル男が退院後に行方不明になるし、前作の重要人物が序盤でいきなり殺されてしまいます。
しかも、さらに予想外の事態が!
前作と変わらず、どこもかしこも大混乱です。
やっぱり騙される度:★★★★★
前作で、カエル男の共犯として行動し、古手川とのバトルの末に入院隔離されていた当真勝雄が退院し、
精神科医・御前崎教授の家を訪ねにくるシーンから、物語は始まります。
自閉症患者であり、主犯に操られていたと判断された勝雄は、退院し自由な行動をとったようですが、
その矢先に行方不明になり、御前崎教授の家で爆発が…そして教授の死体が!
わーお、いきなり全開ですか(汗)
さらに現場には、カエル男の稚拙な犯行声明文があり、捜査員たちは戦慄せざるを得ないのでした。
その後も、深夜の工場で溶けた男性が、電車に無残に轢かれた女性が、さらにさらに…。
カエル男によると思われる犯行は続き、前回は市内に留まっていた事態は首都圏に広がり、人々は、再びパニックに!
時間がたつにつれて、精神疾患と責任能力の問題が、巷で取り沙汰され…。
まさに、前作の混乱と恐怖が、そのまま戻ってきてしまうのです。
古手川刑事の心に、忘れられない傷を刻み込んだ大事件。
その再来に、彼は必死に勝雄の行方を探そうとするのですが、渡瀬のように冷静には行動できず、
う~ん、前作よりは成長しているけれど、まだまだな古手川君を応援しながらハラハラハラハラ。
そして、ついには‟彼女”も行動を起こし…。
あああ、またしても一気読みしてしまう羽目になるのでした。
前作では、後半ずっと騙されっぱなしだったので、
気合を入れて読んだ今作は…はい、騙されました!
それはもう、気持ちいいくらいに!
中山さんの作品で、騙されずに読めたことないなぁ。
犯人分かるたびに、ええ~となった記憶しかないです。これがたまらないんですけどね…。
正直最後はスカッとした度:★★★
どうしようもないワルが出ますし、過去の事件からずっと苦しんでいる人、無責任で自分本位な人物も出ます。
前作が、苦さと痛みが強く残る作品だったので、今回も読んでいて苦しくなったりするんだろうなとは思っていました。
読んでいる途中、やはり悲惨な事件に苦しい思いが…。
でもこの終わり方は、嫌いじゃなかったです。
ここは、きっちりしめて終わっていただかないと!という感じだったので。
本当は、こんなこと言ってはいけないのでしょうが…。ひどいことはしてるし。
前回、上司・渡瀬が最後に行った言葉。
実はシリーズとおしての、キーワードだったのかな?
ちなみに今回、他作品の主人公が出張しています。
巻末には、9年間40冊分の作品・人物相関図が!こ、古手川くん頑張っている!
カエル男は、相変わらず容赦なし!
再び騙されたい人は、ぜひ読んでみてください。