作者名:フランツ=オリヴィエ・ジズベール 河出書房新社
すべてがうまくいかないとき料理にまさるものはない。ローズは105歳のいまも現役で厨房に立つスーパーおばあちゃん。8歳のとき、アルメニア人大虐殺で家族を皆殺しにされて以来、殺戮の20世紀を、美貌と料理の才を武器に生き抜いてきた―フランスで大ベストセラー!
105歳になっても、敵に容赦なし。
たくましすぎる女性の、波乱に満ちた一代記!
激動の人生度:★★★★★
ローズの激動の人生は、8歳で始まります。
アルメリア人の大虐殺で家族を失い、苦しい経験をした後、何とか逃走。
その後、戦争で息子たちを失くした、善良な夫妻と出会い、彼らの庇護下でつかの間の幸せをつかみます。
幼少期はおばあさんから、少女時代は夫妻から、料理を習い、
これが彼女の人生を支えることに。
作中で描かれる料理は、どれも美味しそう!
読んでいると、丁寧な煮込み料理とか作りたくなってきます。
(ちなみに、巻末にローズ自慢の料理のレシピがあるので、料理に自信のある方はぜひチャレンジを。)
夫妻のもとで幸せだったけど、ある出来事から再び人生が大きく動きますが、
このときに運命の出会いも果たし、不穏な世の中でも自分の店を持ち、子どもに恵まれ幸せを享受しますが…。
ここから急転直下で、激動極まる人生へ突入!
悲劇に見舞われるわ、歴史上の重要人物とパイプができるわ、
フランスから移動することになるわ、出会いと別れがひっきりなしだわ…どんだけ?と言いたい。
そしてそして、ローズの人生の苦しみを抑えるための手段が、すごいったら!
歴史に流されっぱなしでは死んでしまう!と思った彼女は、自らグイグイ攻めることに。
何をやっているかは、この本の裏表紙を見れば分かります…。
ダメなんだけど、ダメなんだけど、…痛快です!
また、ローズの毒舌語りもすごい!
世の中と人生の真理、歴史の正体についてもずばずば言うのですが、これが痛快かつハッとさせられるもの。
なにせ105歳のスーパーおばあちゃんの格言なので、ものすごい説得力です。
比較的平穏な時期もあるけれど、基本ノンストップで波乱の人生。
華やかな美貌の女性としての活躍と、魅惑の料理と、癖になる痛快な毒舌が、
歴史の重みにつぶされそうな物語を、鮮やかに彩る…そんな作品で、フランスでベストセラーになったのも納得です。
トラブル呼び寄せる度:★★★★
2度の世界大戦、ヒトラーのユダヤ人虐殺に、毛沢東の革命などなど、暴虐と混乱の時代を生き抜き、
どんな状況でも、意志と料理と愛と笑いの力で乗り切ってきたローズ。
子どものときに拾った相棒、山椒魚のテオにも支えられて、生き抜いていきます。
ただ、困った点が2つ。
やられっぱなしではいられないという、信念の強さ。
愛を求めずにはいられない、強い女の欲望。
この2つが、ただでさえ波乱に満ちた人生を、さらにとんでもないことに…。
そして、その気質が105歳の現在も健在というか、磨かれちゃってるのが、
もうすごいとしか言いようがないです。
我が道を行く度:★★★★★
若かりし頃も、自分が生き残るため、家族を守るため、危機的な状況でも行動を起こしたローズ。
105歳になっても、衰えず。
路上で強盗に会えば、拳銃で追い散らし、盗まれた品々を奪還。
偽名と若者言葉を使い、ネットの出会い系を利用してロマンスを確保。(⁉)
悪者を、容赦なく懲らしめたがる。
現役の素晴らしい料理人であり、ぶっとんだ行動力と度胸を持つ予測不能な人物でもあります。
こんなパワフルなおばあちゃん、いますかね?
でも、強い部分も弱い部分も、たまらなく魅力的なんですよ!
何だろう、この本は?
と思ったら、とにかく読んでみてください。止まらなくなります。