【青春・サスペンス】霊応ゲーム|美しい少年たちの歪んだ友情が、寄宿学校に恐怖の連鎖を引き起こす!気弱なジョナサンは、孤高の一匹狼のリチャードと仲良くなるが…2人が親密になるにつれて、生徒にも教師にも謎の異常事態が降りかかり、破滅が始まる!ファンからの復刊希望で蘇った傑作。

作者名:パトリック・レドモンド   ハヤカワ文庫NV

「復刊ドットコム」で絶大な支持を得た傑作サスペンス、待望の文庫化!
1954年、イギリスの名門パブリック・スクールで学ぶ14歳の気弱な少年ジョナサンは、同級生ばかりか教師にまでいじめられ、つらい日々を送っていた。しかしある時から、クラスで一目置かれる一匹狼のリチャードと仲良くなる。二人が親密になるにつれ、ジョナサンをいじめる悪童グループの仲間が一人、また一人と不可解な事件や事故に巻き込まれていく……彼らにいったい何が? 少年たちの歪んだ心を巧みに描いた幻の傑作!

思春期の少年たちに何が起きたのか?

出会ってはいけない2人が招いた戦慄の事態…目が離せなくなる作品です!

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ハラハラし通し度:★★★★

舞台は、1954年のイギリスの名門寄宿学校。

14歳のジョナサンは、歴史が得意で容姿も整っていますが、やや気弱。

家庭では寂しい思いをしていますが、ニコラスと双子のスティーヴン・マイケルという仲良しもおり、

そこそこ平穏な学校生活を送っていました。

しかし、あることがきっかけで、リチャードという同級生と仲良くなります。

このリチャード、容姿端麗・頭脳明晰で、誰も寄せ付けない孤高の態度を貫いており、教師にも冷淡。

それが、徐々にジョナサンとだけ親しくするようになります。

……これが、学校を襲う異常事態をまねくことになるんですな~。

ジョナサンをいじめた同級生や教師に、つぎつぎ奇妙な出来事が起き始め、

混乱は加速し、クライマックスでは皆が皆とんでもないことに!

序盤から、妖しい雰囲気と不吉な予感が止まらず、ああ心臓に悪かった!

けっこうなボリュームがある作品なんですけど、

わ~わ~と何が起きるのかびくびくしながら読んでいたらもう止まらず。

物語は、40年以上前に寄宿学校で起き、世間で大騒ぎされた事件について、

謎の男性が真実を語りだすところから始まり、過去へと戻っていきます。

この語り手の人物の正体は、一体誰なのか…この謎が最後まで残るのも、

何とも上手い演出で、後半はもう止まりませんでした!

心理描写が素晴らしい度:★★★★★

メインとなるのは、ジョナサンとリチャードですが、

そのほかの登場人物の、詳細で胸に迫る心理描写があるのが、この作品の素晴らしいところ。

ジョナサンの複雑な父への感情や劣等感、リチャードへの憧れ。

リチャードの抱える家庭の問題と、ジョナサンへの執着心。

親友が遠くに行ってしまうのではないかと、不安に押しつぶされそうになるニコラスの焦り。

友人に対する態度ですれちがう、スティーヴンとマイケルのやり取り。

少しづつおきる異変に戦々恐々とする、悪童たち。

こういった、不安定な時期にある少年たちの、

読んでいるこちらがハラハラしてしょうがない心理が、しっかりと丁寧に描かれていて、

登場人物への感情移入がすごい作品でした!

復刊希望の声が多かったのも納得の、歪んだ青春サスペンス小説です。

特にリチャードが忘れられなくなる作品かな…。

帯に書かれている病んだ台詞、あれ面と向かって言っちゃってますからね…強烈な子だわ~。

大人も色々あります度:★★★★

思春期の少年たちの描写が素晴らしいですが、

寄宿学校に関わる、大人たちの描写も、これまたすごいです。

リチャードに不安と恐怖を感じる校長と、その美しく善良な妻。

生徒のことを心配し、不穏な空気に気が付く若い教師。

偏屈で意地悪な教師と、悲しみを抱える妻。

過去の問題を解決できていない、リチャードの父や伯父伯母たち。

子どもも色々抱えていますが、この大人たち!この人たちも、全く負けてない!

とにかく登場人物みんながいろいろ抱えていたところに、

出会ってはいけない2人が出会ってしまい、

そこに、ある危険なものが介入してしまったがゆえに、

一気に火がついて爆発、とんでもない大事件を招いた…ということなのです。

恐ろしく、切なく、悲しく、でもどこか美しい…魅力的な作品!

緊迫の展開と、繊細な心理描写で、止まらなくなる作品です。

「歪だけれど強固な結びつき」にそそられる人は、ぜひぜひ!

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