作者名:三島 浩司 ハヤカワ文庫JA
地球に飛来した謎の渡来体が建設した軌道リング・STPFは”究極的忌避感”と呼ばれる苦痛を生物に与える作用があった。リングの一部は四国に落下、そこから発生した生物・キッカイは特殊な遺伝メカニズムで急速に進化し、人を襲った。日本政府はキッカイ殲滅のため、二足歩行兵器・ダイナミックフィギュアを開発する。19歳の栂遊星(とが・ゆうせい)はその操縦士として訓練を受けていたが──。実力派による究極のリアル・ロボットSF
香川県善通寺市に拠点を置く、対キッカイ要撃組織・フタナワーフは栂遊星の活躍で第一次要撃戦に勝利するが、その代償として全権司令官を失った。一方、遊星の恋人・公文土筆(くもん・つくし)は、反政府的思想集団と行動を共にする。計り知れぬ無力感を覚える遊星の想いを余所に、第二次要撃戦予定日が迫る。さらに進化を繰り返すキッカイとの戦いの行方は? 渡来体の真の目的とは?──異星生命体と二足歩行兵器の最終総力戦がはじまる。
熱い、とにかく熱い!
ロボアニメ好きには、たまらないのでは⁉
細かい設定が重要度:★★★★
上下巻で、合わせて約1200ページのボリュームがあり、設定も少し複雑です。
概念を次の個体に伝える化け物‟キッカイ”、
勝手に発生して人間を困らせるテレパシータイム‟孤介時間”、これを苦にしない‟ダルタイプ”、
謎の生命体‟クラマとカラス”…などなど。
最初は物語に入り込みにくいですが、メンバーが集結して、ロボの戦闘が始まって…
と読んでいくうちに、いつの間にかはまっていました。
舞台は日本だし、設定に慣れたら、途中からアクションがヒートアップするし、ぐいぐい読めるかと。
主人公が操るダイナミックフィギュア「シキサイ」も桜吹雪がペイントされていて、
日本のロボって感じです。
キャラが濃い度:★★★★★
操縦士、オペレーター、軍人、政治家、幼馴染、反政府組織などなど、登場人物が多いです。
そして、キャラが濃い!
性格に癖のある人が多いですし、大人しいと思ってた人が行動力を見せたりします。
私は、主人公の栂遊星が一番好きですが、
女性操縦士の鳴滝調や、地上部隊の佐々史也なんかも好きです。
対して、ヒロインの公文土筆はあまり好きになれず、政治家の上司もいまいち…。
主人公に激しく感情移入しちゃったがゆえですかねぇ。
主人公を含む、とにかく若い組が中心に活躍しますが、
バックアップをする、頼りになるけどまだまだ若者組にも、
的確なサポートで、若年者たちを支える経験豊富なベテラン組にも、
魅力的な人物がいっぱい!
ロボアクションと、敵の動向と、人物たちの葛藤から、
目が離せません。
1人1人のドラマが熱い度:★★★★★
主要キャラの見せ場が、熱い!
みんな事情を抱えているんですけど、戦いの中で、それを昇華させようとするんですね。
フィギュアは、飛行船にいるオペレーターからの指示で動きます。
エヴァンゲリオンとか、ガンダムみたいな感じで。
戦場に出る人、命令を下す人、サポートする人、それぞれの戦いが描かれます。
連携して戦いながら、仲間を支えて、絆を深めて…
と思ったら、あの人死んじゃったわ!なんて事態になり、ピンチがピンチを呼び…。
一般人も、反政府組織つくって行動を起こしたり、
ヒロインがおいおい何してるの?状態になったり!
ボリュームはありますが、はまったら一気です!
クライマックスは、「ゆうせーい!」って叫びたくなります。
これは、すごくアニメに向いていると思う!
日本のロボは、やっぱりいいなぁ。