作者名:レイ・ブラッドベリ 創元SF文庫
ポオの衣鉢をつぐ幻想文学の第一人者、SFの抒情詩人ブラッドベリの名声を確立した処女短編集「闇のカーニバル」全編に、新たに五つの新作を加えた珠玉の作品集。後期のSFファンタジーを中心とした短編とは異なり、ここには怪異と幻想と夢魔の世界がなまなましく息づいている。ジョー・マグナイニの挿絵十二枚を付す決定版。
初めてのブラッドベリに、超おすすめです!
美しい文体と、味わい深い挿絵にうっとり…。
丁寧な文章で、じわじわくる度:★★★★
ブラッドベリの作品は、詩的に流れる文章を読んでいるうちに、
ぐいぐい引き込まれて、予想外の結末に連れていかれます。
最初は少しとっつきにくかったのですが、何だか癖になってしまい、
ブラッドベリの作品を買うようになりました。
といってもたくさんあるので、まだまだ一部しか読めていませんが…。
美しく不気味な風景や、人の心理がじわじわ揺れてくる感じが、落ち着かなくて。
「つぎの番」「小さな殺人者」は、不気味だったなぁ。
大切な存在のはずが、ひえ~!となる話です。
続きが早く知りたいけれど、1つ1つの作品を、大切にじっくり読みたくなる本です。
文体と挿絵のマッチ度:★★★★★
19作品中、12作品に挿絵がついていて、贅沢!
また切り絵のような挿絵が、綺麗だけれども少し恐ろしく、作品にぴったりなんですよ!
う~ん、味がある!
私が特に好きなのは、「骨」「熱気のうちで」「群集」「集会」の挿絵です。
この4作品は、もちろん内容もすごく面白いですよ!
自分の骨に悩みすぎる男や、殺人事件が起こりやすい気温、事故現場に集まる人をよく見てみると…?
などなど、魅力的かと。
あんまり挿絵が素敵だったので、次の短編集も、とりあえず挿絵付きのものを選んでしまいました。
SFの短編も面白いんですけど、
恐ろしくも幻想的な話が大好きです。
ものすごく好きな物語が、見つかるかも?
読み返したくなる、美しい物語度:★★★★★
日常で何気なく接しているものが、突然恐ろしい面を見せてきたり…。
普段の生活から、いつの間にか不思議な世界に迷い込んでしまったり…。
ブラッドベリの文章によって、大人のおとぎ話になっていると感じました。
とくに美しいというと、湖で死んでしまった少女との約束の話である「みずうみ」ですかね。
ラストの解釈は、読む人で分かれるみたいです。
ほっこりしちゃうのが、飛べなくなった翼をもつ男の話「アンクル・エナ―」。
思わず笑っちゃったのが、自分の死を受け入れないパワフルおばあちゃんの「ある老母の話」。
ここで書かなかった作品も、全部いいんですよ~!
恐ろしい話、切ない話、どれもが胸に響いてきます。
幻想小説は何だか読みづらい…という人におすすめ!